財務諸表の公開
財務諸表
上場企業となるためには、東証やその他の証券取引所が定める一定の条件をクリアしたのちにそのことを証明できるような状態にして申請しなくてはいけません。
一時期はこの上場基準があまりにも厳しいということが批判されたこともあったため、最近ではかなり基準は緩和されてきていますが、それでもかなり通常の業務に加えた内部統制などを行わなくてはならないということには代わりはありません。
反対に言えば、そのような非常に厳しい審査基準をクリアしたからこそ、上場企業は他の企業とは違った高い信頼性を保つことができているということができます。
しかしそのように苦労をしてクリアした審査基準も、業績の悪化やその他不確定な要素によって基準値を割り込むようなことがあったときには監理銘柄(かんりめいがら)としてその活動を制限されてしまうこともあります。
最もよくある例が企業が不祥事を起こしたり、財務諸表の内容に重大な誤りがあったような場合で、それらが発覚したときには監理ポストとされる範囲に銘柄が移動されてしまい、その後の流れによっては上場廃止ということにもなってしまいます。
他に上場株式数を下回ったり、株式の分布状況に偏りが出てしまったり、または売買高の減少、上場時価総額の著しい低下、債務超過といったことがあると上場廃止基準に該当してしまいます。
監理ポスト
一度そうした監理ポストへの移動が報道されてしまうと、それだけで一気に株式の人気は急転落してしまいますので、一撃アウトで上場廃止となってしまうようなこともよくあります。
もちろん一度はそうした上場廃止という憂き目にあいながらも、その後の懸命の努力により建て直しに成功し再び上場銘柄としての地位を復活させた企業もありますが、よほどのことが無い限り復活は厳しい道程となってしまいます。
このように考えると、実際には業績が芳しくない企業であっても、上場廃止にならないためになんとか財務諸表の内容を改ざんして公表をしたくなる気持もわからないでもありません。
しかし投資家は定期的に公表される財務諸表を見てそこから企業の将来的な成長を予想して投資を行っていくため、その財務諸表の内容に誤りがあるということは最初からウソの情報を流してお金を集める詐欺的な手法に近いものになってしまいます。
上場企業となるということは、社会的な責任を持って誠実な財務諸表を作成・公表するという義務を負うということでもあるのです。