中途半端な叱り方をしない

怒ると叱る

度々混同されて使われる事がある言葉として「怒る」と「叱る」という言葉があります。
前者は感情的なものであり、後者には相手の成長を促しているという意味が含まれています。
経営者が部下に対して行なうべきなのは怒ることではなく、叱ることです。

この叱り方というのも、経営者としての資質を問われる一つのポイントであるといえるでしょう。
重要なのは、本当の意味でその人を成長させることが出来る叱り方を身につけることです。
一番いけないのは、「中途半端」になってしまうことでしょう。

何かミスを犯した人のことを叱る場合には、中途半端になってはいけません。
あまり言い過ぎると逆効果になってしまうのではないか?と思って途中でやめてしまう人も少なくはないのですが、そうするとせっかく叱ることに含まれている人を成長させる効果が発揮されず、ただ相手に嫌な思いをさせただけで終わってしまうことに繋がり本末転倒になるでしょう。
そうならないためにも、叱る時には徹底的に、相手を成長させることが出来るような叱り方をしなければなりません。

この時、ただミスを起こしたことを叱責しても意味があるとはいえないでしょう。
なぜミスを起こすことになってしまったのか、その根本の原因がその人の中にあるようなのであれば、それを改善するにはどうするべきなのか、ということを問いかけるように叱ることが重要になります。
そうすることで、相手に考えさせる事ができなければ、叱ることによる人の成長というものを見込む事ができないでしょう。

叱る環境

人を叱るという場合には、叱る環境を作ることも重要になります。
他の同僚たちが皆見ている前で叱りつけるというのは考えうる最低の方法です。
そうすることによって他の人へのプレッシャーを与えたいという意図があるのかもしれませんが、それによって得られるのは上司に対する嫌悪感と恐怖感だけで、全体としてプラスとなることは考えられないと思っておいた方がよいでしょう。

そのため、人を叱ろうというのであれば、必ずその人と一対一になれる環境を作ることが重要になります。
そうすることによって、より素直に相手にものを考えてもらうことが出来るでしょう。
全員の前で叱ることによって恥ずかしい思いをさせることは、プラスとなることではなく、今後の仕事を萎縮させてしまうことにもなるために注意しなければなりません。

また、相手の考えを促すあまりに、皮肉的になりすぎるのも叱り方としては問題があります。
ストレートに叱られるよりも、遠回しに叱られる方が人は精神的にダメージを受けることになるでしょう。
叱ることの目的はその人にダメージを与えることではない、という当然のことをしっかり考えて行なう必要があります。