JALの破綻から再生までの道のりとは

JALの破綻から再生への道のり

日本を誇るナショナルフラッグキャリアとして世界中へ乗客を乗せてきたJALが倒産をしてしまいました。
その原因となったのは2008年のリーマンショックでしたが、単にこれが原因ではなく、そうしたショックに対して脆弱だった企業体質が最も大きな原因となっていたようです。
倒産をしたJALでしたが、その後に再建に向けて地道な経営を行ってきました。
今では見事に立ち直ったJALですが、その間は容易なものではなかったようです。

再建を成功に導いた要素として全員経営というキーワードが挙げられます。
JALは2010年に会社更生法適用申請を行いました。
日本中が動揺したショッキングなニュースでしたが、再建をするために代表取締役会長になったのは稲盛和夫氏でした。
稲盛氏のユニークな経営手法により、2012年には営業利益を2,000億円にし、見事な回復を果たしました。
この経営手法がまさに全員経営と呼ばれるものでした。

稲盛氏がJALに対して抱いた感想として、経営陣たちのプライドの高さでした。
プライドが高いだけで、自分たちが会社を倒産させたという当事者意識が低い点を稲盛氏は指摘しました。
そして稲盛氏は経営陣に対し、徹底的なリーダー教育を行っていきました。
結果としてJALはわずか2年間で見事に回復を遂げることができました。

具体的な再生のための改革

見事に回復を見せたJALですが、そのためには様々な改革が行われました。
例えば、効率の悪い大型機材は売却され、中型機を主体とする機材編成への転換させました。
ただ大型機の操縦免許しか持っていない高齢のパイロットは退職を余儀なくされ、訴訟問題が起こってしまいました。
また関連会社もと売却されていきました。さらに大幅なリストラも行われ、結果かなりの人材が会社を去ることになりました。

退職しなかった員の給与水準も切り下げられ、給与体系は能力によって差別化が進められていきました。
パイロットや客室乗務員の待遇についても改革が行われました。
さらに年金のカットについてもメスを入れ、最終的には現役50%、OB30%カットになりました。
このような地道な努力によって、世界的にもまれに見るV字回復を見せ、2012年3月期には2049億円の営業黒字となり、見事に再生を果たしたわけです。

今後の課題について

見事なV字回復を見せたJALですが、今後の課題はどういったものなのでしょうか。
まず破綻によって損失を被った元株主に対しての信頼回復が挙げられます。
再生を果たしてもJALは今後も、元株主に対して真摯な対応をしていかなければなりません。
個人株主だけではなく、機関投資家の信頼も回復していく必要があります。

JAL黒字転換しましたが、また社員の意識が放漫化していく可能性は否定できません。
以前と同じようにならないために、どのような社員教育を行っていかなければならないのか、JALは今後も真剣に考えていく必要があります。
JALには今後も大きな課題が残されていると言えるでしょう。