上場企業と役員報酬について

役員報酬

上場企業の場合、経営に携わるトップの報酬を公開しなくてはいけないこととなっています。
役員報酬が1億円以上の役員は有価証券報告書に指名や金額の詳細を記入しなくてはいけないこととなっており、個別開示が義務付けられています。
2010年3月からの法整備によるものですが、その結果2009年度からの1億円以上の報酬を受けている役員の名前が簡単に検索できるようになり、企業内部の体質や待遇面についての大きな判断基準とされています。
上場企業の中で最も多くの報酬を受けていることで有名なのが、日産自動車のカルロス・ゴーン社長です。
報酬額はなんと9億円近い金額で、2位のソニーのハワード・ストリンガー社長の約8億円とともに非常に目立つ存在となっています。

日本企業内においては、トップだからと高すぎる報酬を得ることに抵抗感があったため、同族企業など創業以来高い報酬を得ていた企業トップ以外の人は、数億円にも昇る多額の金額を受けることはないことがほとんどでした(少なくとも表向きは)。
ですが、2010年以降の公表規則の制定や外資系企業の参入、外国人経営者の招聘などの事情が加わって、会社トップの報酬は上昇する傾向にあります。
叩き上げの日本人社長であっても数億円の報酬を受けることをよしとする風潮も少しずつですが出始めており、今後は経営トップの責任増加とともに報酬の上昇が見込まれています。

日本の経営トップ報酬

日本において経営トップの報酬額が上昇してきたもう一つの背景が、アメリカ企業に比べてトップの報酬額があまりにも少ないということが問題視されてきたことです。
若干上昇基調にある日本の経営者トップの報酬も、アメリカに比べれば微々たるものです。
例えば同じく経営者の報酬ランキングで比較をしたとき、アメリカでのトップはUnitedHealth GroupのトップであるS.Hemsleyの約101Mドルとなっています。
これは日本円に換算して約78億円ということですから、いかに比較にならないような金額を受けているかがわかるというものです。
アメリカは元来成果主義による賃金体系が当然という企業風土があったため、このような金額設定ができたのでしょうが、反面企業運営がまずくなった途端に報酬だけもらって企業から去るという無責任な経営者が見られることもあり、このような報酬の支払方法が本当に適切であるかどうかについてはまだまだ問題が多く残されているようです。