沖縄県の上場企業
企業誘致政策が進む沖縄県
日本国内だけでなく海外からも数多くの観光客が訪れる沖縄県ですが、実は今沖縄県内では大きな転換が起こっています。
沖縄県は第二次大戦中に甚大な被害を受けるとともに米軍の占領下におかれるという日本の中でも特殊な状態に置かれていました。
しかし本土復帰してからはインフラ整備や観光資源の活用など急激に投資と雇用が生まれ、他の地域には見られないほどのスピードで多くの建築設備や住宅が作られました。
現在もそうした観光産業は沖縄県内の経済を支える大きな要因になっていますが、不景気による旅行客の減少や一回りしたインフラ整備の落ち着きにより今後大きな伸びを期待することができません。
そこで現在力を入れているのが企業誘致政策です。
本格的な整備計画が開始されたのは2012年からのことで、うるま市の中城湾港新港地区に工業団地を整備をしたり、経済特区を設けて移設してきた企業や工場に特別な優待を行うなどといったことをしてきています。
中でも力を入れている分野として「国際物流拠点」「金融業務」「情報通信産業」の3つが挙げられています。
この3つの分野に属する企業についてはそれぞれの特区がつくられており、今も国内外からの企業の移転を受付しています。
琉球銀行【8399】・沖縄銀行【8397】
沖縄県内にある地方銀行は全部で3つあり、シェアトップの琉球銀行をはじめとし同じく一部上場の沖縄銀行、それと非上場の沖縄海邦銀行となっています。
中でも琉球銀行と沖縄銀行は沖縄県内の二強銀行として県内の金融のほとんどを引受しています。
琉球銀行も沖縄銀行も、沖縄県内密着型の地銀であるということもあり1980~1990年代に起こったバブルとその崩壊にもそれほど影響を受けることなくこれまで堅実な経営を続けています。
沖縄らしいのがいずれも創業当時は米軍政府令による銀行として出発していることで、昭和47年に沖縄が日本に返還されたことにより日本の銀行法に基づく指定を受けることとなっています。
経常収支と預金額(資金量)を比較すると琉球銀行は経常収支約550億円と預金額1兆9672億円、沖縄銀行は経常収支約489億円と預金額1兆8046億円とそれほど差はなく僅差のライバル銀行ということになっています。
そのためお互いに利用者へのサービスを積極的に展開しており、沖縄県内の金融をもり立てる存在となっています。
沖縄電力【9511】
離島である沖縄では各種インフラも他の地域とは異なる特別な状況におかれています。
その中の一つが沖縄電力で、提供する電力は沖縄県内限定となっており「国内唯一原発を持たない電力会社」として独立した存在感を示しています。
そのため現在全国各地に存在している原発の停止と再稼働に関する住民とのトラブルに巻き込まれるということなく、非常に安定的な運営状態となっています。
同じく地域限定で運営している電力会社として沖縄電力とよく比較されているのが北海道電力【9509】ですが、道内の泊原発の再稼働による運営方針の違いが影響してか、2013年に純利益を大きく落としてしまう結果になっています。
一方で沖縄電力はここ数年横ばいの安定的な利益率や内部留保を保っており、今後も飛び抜けて収益は増えることはないまでも安定的に継続運営がされていくことが予想されます。