ブラック企業の原因と解決法

ブラック企業の根源

では、なぜここ数年の間になってブラック企業というものが良く取り沙汰されるようになってきたのでしょうか?
それは、今になってブラック企業が生まれてきたというわけではなく、長年存在していたものが明るみ出てきた、という方が適切です。
ブラック企業が生まれてきた背景には、長年に渡って続いてきた不景気というものがあります。

不景気の中、企業は生き残るためにそれそれ必死の経営努力をしてきました。
しかし、法律を遵守したし経営努力では維持することが出来なくなってしまい、それでも生き残ることを考えたために労働者に基準法を超えた以上の仕事を迫る状態となっているわけです。
つまり、こういった企業というのは、本来ならばその時点で死んでいるハズの企業が、無理に生きながらえているゾンビのような存在です。

ブラック企業に関して良く言われる事の一つとして「労働基準法を遵守したら企業の多くが潰れてしまう」と言う言葉があります。
極めて経営者本位であり無責任極まりない言葉ではありますが、事実、労働基準法の違反によってかろうじて生きながらえている企業が存在していることも認めなければなりません。
ただ、そこにおいて「法律を違反してでも生き残るということが正しいのか否か」ということについても議論を行なう必要があります。

ブラック企業においてことさら問題とされるサービス残業というのは、まさに不景気とそれ以前の日本における終身雇用制度の混在によって生み出された膿のようなものです。
かつて日本には終身雇用制度という、一度務めた会社で一生暮らしていくことができる、という制度が存在していました。
サービス残業の文化というのは企業がこれを守ることを引き換えに、労働者側が受忍するという、企業と労使の利害の一致から生み出されているものです。

しかしながら、バブルの崩壊以降の日本において終身保険制度もまた泡と消えました。
そうなった以上、企業側の利益のみが残ることになったサービス残業制度をいつまでも伝統かのように残しておく必要は一切なくなったと言っても過言ではありません。

ブラック企業への対処

では、万が一自分の勤めている会社がブラック企業であった場合にはどうするべきなのでしょうか?
ことを荒立てることが嫌いであり、かつ我慢をすることを美徳としがちである日本人はそのまま我慢し続け、果てには体を壊したり、最悪の場合過労死や鬱などによる自殺という道を選んでしまう可能性があります。
そのような悲劇の結末を迎える前に取ることが出来る選択肢として、労働基準監督署への通報があります。

労働基準監督署は企業が労働基準法を遵守しているかどうかを監督し、指導を行なう役所です。
ここに通報することで、当該企業への査定が入り、企業体質の改善を促すことが可能です。