上場企業のこれまでとこれから

上場企業のこれまで

証券取引の歴史は大変に古く、世界最古の記録では17世紀の初頭にアムステルダムで設立されたものとなっています。
証券取引や上場企業といった存在が一般的になったのはそれから少しのちになった18世紀頃のことで、イギリスで証券取引そのものを職業とする人たちが出始めてからです。
ロンドンの証券取引所の周辺のカフェなどでは、証券取引に関する情報交換が頻繁に行われていたようで、やがてこれが現在のような情報公開とそこから取引内容が決定されるスタイルの証券取引へと発展をしていったようです。
ちなみに日本において初めて証券取引所ができたのは1878年(明治11年)のことで、東京と大阪に株式取引所が設立されたのが最初でした。

証券取引が行われた当初は、情報を集めるにしてもその手段があまり多くありませんでしたから、専門の調査員が各企業関係者と関係を深めそこから話を聞き出したり独自の分析をしたりするなど、属人的な方法によって取引をするかどうかが決定されていました。
属人的な情報収集の場合には、その情報を提供する人の信用性や実績が大きく問われることになっていたので、情報1つずつに対して支払われるコストは現在に比べてかなり高いものでしたが、内容はかなり信ぴょう性が高いものがほとんどでした。(もちろん、情報を悪用する人もいなかったわけではありませんが)。
それがやがて長い年月を経てより多くの人が証券取引をするようになった結果、情報を提供する場所や人も急激に増え、どの情報をどんなふうに信じるかという事自体がまた情報となるような、複雑な情報戦の時代に突入するようになってしまったのです。
現在ネット証券や金融商品に関する情報交換サイトなどでは、信ぴょう性の乏しいうわさ話のような情報が、毎日雨あられのように提供されています。

資本主義:絶滅の危機に瀕する上場企業

そのような情報戦が激化することにより、本来の企業の実態に関わらず商取引のための情報に踊らされてしまう企業もいくつか出てくるようになってしまいました。
最近のニュースでは、アメリカの有名SNSサービスのFacebookが上場となりましたが、新規株式公開(IPO)での価格は世界最大級の値段がつくなど、企業実態よりも情報によって大きく膨張した価値がつけられるようなことも当たり前になってしまっています。
上場企業の価値を正しく見極めるコツは、これらの洪水のような情報をいかに上手に仕分けることができるかということになってきているのです。